JICAと協業し、パラオ農業に技術支援 〜AI画像解析で果実バエ防除を効率化〜
株式会社エフ・シー・シー(本社:静岡県浜松市、代表取締役社長:斎藤 善敬、以下「当社」)は、JICA(独立行政法人 国際協力機構/本部:東京都千代田区麹町、理事長:田中 明彦、以下「JICA」)との連携により、パラオ共和国における果実バエ(ミバエ)対策支援プロジェクト「果実生産・販売促進のためのミバエ類防除システム開発プロジェクト」に参画しました。当社は、自社が有するAI画像解析技術を活用し、同国で深刻化するミバエによる農業被害の軽減に向けたソリューションを提供しています。
2025年2月には、JICAとの契約に基づき、当社が開発した「ミバエのAIカウント装置」の現地導入を完了しました。今後も、継続的な支援と技術活用を通じて、持続可能な農業の実現に貢献してまいります。
■プロジェクトの背景:農業振興を阻むミバエの脅威
果実の一大産地であるパラオでは、ミバエ類の被害が長年にわたり果樹栽培に深刻な影響を及ぼしており、収穫量の減少や輸出制限など、農業経済に多大な損失をもたらしています。これまでもミバエ根絶に向けた取り組みは行われてきましたが、予算や技術的な制約により、十分な成果には至っていません。
こうした課題を受け、日本政府とパラオ政府は2021年に農業協力に関する覚書を締結。パラオ政府の要請を受けて技術協力プロジェクトが立ち上がり、その中核技術として当社のソリューションが採用されました。
■当社の技術提供:高精度なAI解析によるモニタリングの自動化
当社は、自動車・オートバイ用クラッチの開発・製造で培った独自のセンシング・画像解析技術をベースに、農業分野への応用を進めています。本プロジェクトでは、ミバエの種別や個体数をリアルタイムで解析・記録できるAIカウント装置を開発。本来であれば150人以上を要する人手作業を、1名でも運用可能な体制へと大幅に効率化しました。
この装置は、現地オペレーターによる簡単な操作で害虫の発生状況を自動で可視化・共有でき、的確な防除計画の立案と、パラオ政府の財政状況にも配慮したコスト削減を同時に実現するものです。
■今後の展望:グローバルな農業課題への応用を目指して
当社は今後、本プロジェクトで得られた知見を活かし、他地域・他害虫種にも対応可能なソリューションへの拡張を検討しています。AIによる「発生予測」や「防除アラート」の仕組みを加えることで、農作物被害の未然防止に向けた高度な予測型防除サービスの構築を目指します。
また、気象情報や生育状況のデータと連携した精密な害虫モニタリングにも取り組んでおり、多様な農業現場における課題解決への貢献を図ります。当社はこれからも、ものづくりの現場で培った技術と現場対応力を活かし、農業の持続可能な発展と社会課題の解決に取り組んでまいります。
【JICA 概要】
設立:2003年10月
所在地:東京都千代田区二番町5-25 二番町センタービル
代表者:理事長 田中 明彦
<お問い合わせ先>
生産技術センター
第3技術ブロック DXグループ 土屋 彰範
Tel:053-523-3550
Mobile:070-3351-8010