
4番グリッドからスタートしたF.C.C. TSR Honda Franceは、「集中力を保ち、慎重な走行を重ね、難しいコンディション下でも最大限ポイントを獲得する」という明確な戦略でレースに挑みました。
午後12時30分、ドライコンディションのもとスタート。コレンティン・ペロラリ選手が見事なスタートダッシュを決め、オープニングラップをトップで通過。さらに、その時点でのファステストラップもマークします。その後、スパ・フランコルシャンを得意とするペロラリ選手とアラン・テシェ選手が交互にスティントを担当し、驚異的なラップタイムを刻み続けました。

しかし午後3時ごろ、激しい雨が降り出し、直前にピットインしていたテシェ選手が再びピットへ戻り、レインタイヤへと交換。6秒のリードを築いていたF.C.C. TSR Honda Franceは、3番手でコースへ復帰します。
その後も晴天と激しい雨が交互に訪れる難しい状況――いわゆる“スパ・ウェザー”が続き、ライダーたちの集中力が試される展開に。しかし2人のフランス人ライダーは一切のミスなく、ハイペースを維持し続けます。そして残り1時間30分のところで、再びトップに返り咲きました。

ライダーたちの豊富な経験、HONDA CBR1000RR-R Fireblade(#5)の高いパフォーマンス、そしてブリヂストンタイヤの選択を含むテクニカルチームの戦略的な判断が相まって、F.C.C. TSR Honda Franceは終盤までリードを広げ続けることに成功。非常に難しいトラックコンディションにもかかわらず、チームは確実に勝利への歩みを進めました。
そして最終的にアラン・テシェ選手が2位に50秒以上の差をつけてチェッカーフラッグを受け、2025年スパ8時間耐久ロードレースの勝者としてフィニッシュラインを駆け抜けました。予選と決勝で合計58ポイントを獲得したF.C.C. TSR Honda Franceは、FIM世界耐久選手権(EWC)の暫定ランキングで4位に浮上しました。
次戦は、2025年8月3日に開催される鈴鹿8耐です。伝統あるレースでF.C.C. TSR Honda Franceの名を刻むべく、さらなる栄光を目指します。
Alan Techer
「いまは信じられない気持ちです。最後に優勝したのは2023年のル・マンで、それからしばらく勝利から遠ざかっていたので、今日はひときわ嬉しいですね。
この冬にライダーやメカニック、クルーチーフも変わるなど大きな転換を迎え、今年はチャレンジングになると思っていました。ル・マンではアンラッキーもあったし、いくつかのミスもあったけど、チームの速さは証明できました。
そして今日のレースでは、ドライではいいペースを出せるけど、雨では他のチームより少し劣る部分もあることが分かりました。だからこそ決勝では集中力を切らさず、ミスをしないようにと、細心の注意を払いながら走り切りました。最後の数分間はまるで数時間のように感じられましたよ!この勝利は、僕らにとって最高のご褒美です!」
Corentin Perolari
「ちょっとトリッキーな1週間でしたが、アランと一緒になんとか適応することができました。彼にも、チームにも、みんなにもとても感謝しています!
レースは決して簡単ではなく、このコンディションはル・マンに似ていましたが、さらに難しかったと思います。でも、すべての危険を避けることができ、トップでゴールできたことが本当に嬉しいです。今週はずっと速さを見せることができたし、何よりもレース中にミスをしなかったことも大きいです。この結果には本当に満足しています」