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<F.C.C.クルーインタビュー>
ベテランの業で守り抜いたスロバキアリング8時間3位

5月12日(土)、2017-2018世界耐久選手権(EWC)第3戦となるスロバキアリング8時間耐久レースが開催された。ニューマシンへの切り替え、そしてポイントランキングトップというポジションなど、F.C.C. TSR Honda Franceにとって重要な位置づけとなったこの一戦。辛くも3位入賞を果たし、トップポジションを守り切ったレースの裏側を、F.C.C.ピットクルーへのインタビューをもとに紐解いていく。

ランキングトップで臨む第3戦の重み

ランキングトップで臨む第3戦の重み

今シーズン、海外での世界耐久選手権に帯同しているF.C.C.クルーは総勢5名。レースの特徴や戦略を踏まえて、適任の人材がチームから指名される。少数精鋭で構成される海外戦の給油マンに選ばれるだけあって、選出されるのは社内でも屈指のエキスパートばかりだ。チームにとって非常に重要な一戦となったスロバキアレースに召集されたのは、8年のキャリアを持つベテランクルーたちだった。

ランキングトップで臨む第3戦の重み

現在、ポイントランキングトップを走るF.C.C. TSR Honda Franceにとって、スロバキアリング8時間耐久レースは足場を固めるための重要な一戦だ。しかしながら開催実績が少ないフィールドやニューマシンの投入といったイレギュラーな要素も多く、ピットクルーにはトラブルに柔軟に対応できる安定したパフォーマンスが求められた。
「決勝前日にスタート時間が変更になるなどの不測の事態もありましたが、みんな場数を踏んでいるだけあって慌てることなく体制を整えられました」
F.C.C.クルーは、これまでチームとともに2度の鈴鹿8耐優勝を体験してきていることもあり、積み上げてきた信頼も厚い。熟練のピットクルーたちの存在が、最終戦に向けて着実に進化を続けるF.C.C. TSR Honda Franceを支えている。

 

#8hslovakiaring : 2 more hours to go, the team runs 3rd.

TSR/Technical Sports Racingさんの投稿 2018年5月12日(土)

スピードのカギはコンビネーション

世界耐久選手権の給油には、チューブ式と携行式の2種類の方法がある。
スロバキアレースで採用されている携行式の給油は、“ロケット”と呼ばれる給油タンクを2人1組でマシンに打ち込む。つまり、2人のコンビネーションが給油のスピードを左右するのだ。動作自体はロケットを持ち上げて、給油口に差し込むというシンプルなものだが、そのスタイルは給油マンによっても様々だ。
「2人でしっかり支えて打ちたい人や、なるべく1人で打ちたい人など、それぞれにやりやすいスタイルがあります。自分たちの場合は相方にぐらつきを支えてもらって、僕が主導で打ち込むような形をとっています」
コンビで綿密にコミュニケーションを取り合い、何度も動作を確認することで、お互いの歩調を合わせていくのだ。

ロケットによる給油は鈴鹿8耐でも採用されている。そのためF.C.C.クルーにとっては、日本で積み重ねてきた経験を存分に活かすことができる、いわば得意のスタイルなのだ。実は今回F.C.C.のベテランコンビが給油マンとしてタッグを組んだのは、デビュー戦の鈴鹿8耐以来だという。「はじめは少し不安もありましたが、実際に合わせてみたらやっぱりしっくりきましたね」今日まで数多のレースに臨み磨き上げてきたお互いの技術―そして“こいつになら任せられる” という安心感を改めて実感した一戦だった。

ツールを改良しさらなる進化を

ツールを改良しさらなる進化を

今回からリニューアルされたのはマシンだけではない。
レギュレーション(大会規約)の変更に伴い、ロケットのモデルチェンジが行われたのだ。従来のロケットは側面に付いたハンドルを両手でつかみ、腕の力のみでマシンに打ち込むというものだった。しかし、マシンがピットインしてくるたびに20~30㎏のロケットを持ち上げ、時にはそのままの状態で他の作業が終わるのを待つ給油の作業は体力の消耗が激しく、レースが長時間であればあるほど精度を保つことが難しい。過去にはロケットをまっすぐ給油口へと打ち込めず、ミスにつながってしまうケースもあった。
「タンクがぐらついてオイル漏れを起こしてしまうと、大幅なタイムロスにつながりますし、最悪の場合発火する危険もあります。だから給油マンはミスを起こしてはいけないんです」
そういったミスを無くすために、今回のリニューアルで新たに取り付けられたのがショルダーアタッチメントだ。

ツールを改良しさらなる進化を

このリニューアルにより、ロケットの重みを肩と両腕の3点で分散することができるようになったため、以前より体力の消耗も少なくなり、後半になっても作業のスピードや精度を保つことができた。
初の実戦投入を終えたチームは、給油のさらなるスピードアップを確信したという。来シーズンのボルドール24時間では26回程度の給油をこのタンクで行う。きっと今まで以上に素晴らしいピットワークを見せてくれるはずだ。

守り切ったランキングトップの座

守り切ったランキングトップの座

世界各地を転々としながら人々を魅了し続けるモーターレースは、時としてサーカスに例えられる。熱狂のフィナーレを迎えたレースチームは、瞬く間にたくさんの荷物をまとめて次のレースへと旅を続けていく。彼らの長い旅も、いよいよ後半戦に差し掛かった。チームにとってはホームグラウンドとも言える鈴鹿8耐を見据え、クルーは今何を思うのか。

8年前、当時の工場長にスカウトされてピットに入ったという竹内さんは、優勝へかける想いを教えてくれた。「これまで優勝を2度経験させてもらっているんですが、あの時の感覚や達成感は今でも鮮明に覚えています。またあれを味わいたい、その一心でここまでやってきました」

そんな竹内さんが、当時相方として声をかけたのが林さんだ。「今回はピットタイムでライバルチームに差をつけられてしまいましたが、残り2戦はしっかりと作業を改善してチームに貢献していきます」

守り切ったランキングトップの座

第3戦スロバキアリングを3位入賞という形で終えたF.C.C. TSR Honda Franceは、ランキングトップをキープして次戦へとバトンをつないだ。2位との差はわずか1ポイントまで迫っているものの、チームの雰囲気は今までにないほど良いものになってきている。

最終戦に向けて止まることなく加速し続ける、F.C.C. TSR Honda Franceの雄姿を見逃すな。

PIT CREW

給油スタッフ 竹内 政人 from F.C.C. 給油スタッフ 竹内 政人 from F.C.C.

給油スタッフ

竹内 政人from F.C.C.

インタビュー

給油スタッフ 林 辰幸 from F.C.C. 給油スタッフ 林 辰幸 from F.C.C.

給油スタッフ

林 辰幸from F.C.C.

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