EWCマシンで340km/hを超える最高速を記録する、1.8kmの超ロングストレート”ミストラル”を持つこのコースは、F1復帰のため改修され、昨年の 5.791kmから5.673Kmへと僅かながら短くなった。さらに改修直後のサーキットではタイヤ使用制限は行なわれず、また上位5チームまで予選グリッドに応じたポイントが与えられる規則が追加されたことなどもあり、公式予選は最終セッションまでタイムが更新され、見応えのあるものとなった。
F.C.C. TSR Honda Franceは今季から新しく加入したマイク・ディ・メリオと昨年のチャンピオンライダー、フレディ・フォレイ、ジョシュ・フックとともに最終予選でそれぞれが自己ベストタイムを更新して、今回のボルドール24時間をセカンドグリッドからスタートすることになった。もちろんマイクは2008年の世界グランプリ125ccクラス、2016/2017EWCのシリーズチャンピオンであり、ル・マンとボルドールでも勝利を飾る実力の持ち主だ。当初はこれまでと全く違うマシン、タイヤを理解することが必要、などとコメントしていたが、それも杞憂に過ぎず、ウィークに入ってからは走る度にタイムを削って来る高い順応性を見せた。
今回の決勝レースでスタートライダーを務めるのはジョシュ・フック。やや緊張気味にスタートを切ったジョシュだったが、オープニングラップを4位で戻ってきた。奇しくも#11Kawasaki、#2SUZUKI、#7YAMAHA、そして#1F.C.C. TSR Honda France、この4台がそのままトップ争いを繰り広げる。その後担当スティントを2番手のポジションでフレディに交代した。そのスティントでセーフティカー(SC)が介入し、やや開き気味になっていたトップ集団の差がほぼ無くなり、フレディが今度はトップでマイクと交代する。
4台はピットインのタイミング毎に順位を変えながら周回が続いて行くじりじりする展開。しかし、#7の転倒によるオイル漏れが発生、直後に複数台が転倒に巻き込まれて再びSCの介入があり、この時点でのトップ#2と#11、F.C.C. TSR Honda France、#111Honda Enduranceの3台は離れてしまう。40分少々にわたる修復作業後にレースは再開された。

それでも下位集団とのペースの違いから、ぐいぐいと順位を回復するが、タイム差の接近する6位以上のライダーが行く手を遮る。それでも、8時間経過時点で10位に位置することができ、エキストラポイント1を獲得できた。さらに追い上げのレースは続くが、なかなか順位が上がらない。

この勝利で、F.C.C. TSR Honda FranceはEWCシリーズとして3勝目、2018年に開催されたル・マン24時間と今回のボルドール24時間という、フランス国内で絶対的な人気を誇る2つの24時間耐久レースを制するという離れ業を達成した。獲得ポイントは、グリッド×4、8時間経過×1、16時間経過×6、決勝優勝×40、合計51。ディフェンディングチャンピオンという立場としては言う事の無いシーズンのスタートを切る事ができた。
