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学生フォーミュラ

DIFF FCCTRACE® 3つの特長

WHAT'S DIFF|デフは車の制御装置

WHAT'S DIFF|デフは車の制御装置

左右のタイヤの回転差をコントロールし、スムーズなコーナリングを実現するデフは、クルマにとって欠かせない機構。
とくに、速いスピードでコンパクトなコーナーを駆け抜けるモータースポーツにおいては、その性能が勝敗を分ける重要なファクターになります。
FCCが供給を続けてきたLSD(リミテッド・スリップ・デフ)「FCCTRAC®」は、コーナーのアールや路面状況に応じてトルクを分配。安定したハンドリングと高い走破性を実現します。

トルクフロー

  • エンジンから出力されたトルクが、リングギアを介してデフケースに伝わる。
  • 左右のタイヤにかかる負荷が一定の時(直進時)は、カムフォロワーは作動しない。
  • 左右どちらかのタイヤに負荷がかかると(旋回時)、カムフォロワーが作動し、左右の回転差をカムが吸収する。
  • カムフォロワーで振り分けられたトルクを、フェイスカムを介してドライブシャフトに伝えることで、タイヤが自然にコーナリングする。

TBR特製

TBR特性|トルク伝達特性線図
トルク伝達特性線図
トルクバイアス比(TBR) 3.5:1
デフ入力トルクに対するレスポンスが良好

TBR(トルク・バイアス・レシオ)は、左右のタイヤ、つまりコーナリング時の内輪と外輪にかかる、トルクの分配比を表します。
一般的な量産車のTBRは、およそ2~2.5:1。本格的なモータースポーツマシンのTBRは、4~5:1。
トルク差が大きくなればなるほど、クイックな旋回が可能になりますが、その分、運転はとても難しくなります。
その点、FCCTRAC®のTBRは3.5:1ときわめてバランスがよく、レースでの走りに対応しつつ、安定した操作性を保っています。

INTERVIEW|開発者インタビュー

開発者インタビュー|鈴木 隆之

Intro.

FCCTRAC®の性能や特徴、そして学生フォーミュラに挑む
学生たちへのメッセージを、開発担当者に聞いた。

株式会社エフ・シー・シー
技術研究所 製品開発 1BL 技師補

鈴木 隆之

コーナーリングの性能は
デフで決まる!

はじめに、デフの働きについて教えてください。

デフは差動装置とも言って、左右のタイヤに回転差が生じた時に、最適なトルクを分配する働きをしています。
通常、クルマは左右のタイヤにトルクが均等に伝わることで直進していますよね。ですが、そのままコーナーに進入してしまうと、上手く転回することができません。 なぜなら、コーナーでは左右のタイヤ、つまり内輪と外輪にかかる負荷が異なるからです。
そこで登場するのが、このデフです。外輪と内輪の回転差を吸収することで、スムーズな走行を可能にしています。

クルマにとって、無くてはならない機構ということですね。
さまざまなデフのなかでも、FCCTRAC®が学生フォーミュラに適している理由はなんでしょうか。

私たちが提供しているFCCTRAC®は、もともとATV(四輪バギー)用に開発されたモデルです。ATVは悪路や不整地を走破する乗り物ですから、デフにもタフで安定した性能が求められます。
例えば、路面状況が悪く、片輪が浮き上がってしまった時。先ほど説明したような差動によって、負荷の少ない、浮いている方のタイヤにばかりトルクが伝わってしまうと、クルマは推進力が得られず失速してしまいます。

そうならないように、デフの働きを制御するのが、FCCTRAC®のようなLSD(リミテッド・スリップ・デフ)です。
内部にある皿バネで、常時一定のトルク(プリセットトルク)をかけることで、路面の凹凸による小さなトルク変化やタイヤの空転にも、柔軟に対応することができる仕組みになっています。
モータースポーツでは、コーナリング時の強い横Gによって片輪が浮くシーンもありますから、学生フォーミュラにおいてもこの性能は活きてくるのではないかと思います。

あとは、パフォーマンスの良さという点では、FCCTRAC®が設定している3.5:1というトルクバイアス比。このバランスの良さ、扱いやすさというのも、長所のひとつだと思います。

開発者インタビュー

実際に供給を受けている学生からは、軽量でコンパクト、かつメンテナンスフリーという点が高く評価されているようですが、そちらについてはいかがでしょうか。

軽量・コンパクトという点については、先ほどの話につながってきますね。
FCCTRAC®は本来、ATVに搭載されるデフですから、コンパクトな車体に合わせて、なるべく軽く、小さく設計されています。その特徴が、学生フォーミュラのマシンづくりにうまくハマった、ということですね。

メンテナンスに関しては、カムとギアで構成されたシンプルな構造が利点になっています。 通常、機械式のデフはこまめにオイル交換をしないと、中に入っているディスクが摩耗し、LSDの効果が低下してしまうのですが、FCCTRAC®は、指定したギアオイルをちゃんと入れてもらえれば、問題なく使い続けることができます。

作り手のノウハウで
自由な発想をサポート

たくさんの学生チームを見てこられたと思いますが、興味深い工夫やアイデアはありましたか。

どのチームも、それぞれのコンセプトに基づいてかなり作り込んでくるので、毎年かなり見ごたえがありますよ。
特にびっくりしたのは、デフの入れ方ですね。普通、この部品はオイルに浸けて潤滑した状態で使うものなんですが、学生さんたちはそれをせずに、ほとんど剥き出しで使ってるんですよ。 小さい車体のなかで、できるだけコンパクトに部品を配置しようとした結果、ケースは取った方がいいと考えたみたいで。
代わりにグリスを入れてみたり、部品に直接オイルを入れて塞いでみたり。 ほかにも、デフにギアじゃなくてスプロケットをつけてチェーンで駆動させてみたりとか、いろいろと試行錯誤されていて。
製品として、耐久保証をしなければならない私たちには、なかなかできない発想ですよね(笑) 学生さんたちのマシンづくりからは、たくさん刺激をもらっています。

開発者インタビュー

今後、もっとこんなサポートをしていきたいというビジョンはありますか。

FCCTRAC®は既存の製品ということもあって、仕様の変更などといった大幅な手直しをすることはできないのですが、なるべく各チームの理想、希望に合ったセッティングができるよう、サポートをしていきたいと考えています。

それから、学生さんのなかには、私たちのことをデフメーカーだと思っている方もいるかもしれませんが、FCCの主力製品はクラッチです。
学生フォーミュラで使用されているエンジンの多くには、FCCのクラッチが搭載されています。クラッチに関しても力になれることがあれば、可能な限り応えていきたいと思っています。

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