

レース終盤、フレディからジョシュへとバトンが渡される中、ライダーとの確実なコミニュケーションでぎりぎりまでピットインを引っ張る戦略だったが、最後のスティントでガソリン補給のためだけにピットインする可能性も考え、メカニックと給油班が連携してミニトレーニングまで敢行。追いすがる#94が迫る中、ライバルたちより1回少ない6回目のピットインで最後の約1時間を務めるフレディに交代。ところが、残り約20分というところで転倒車が発生し、このレースで3回目となるSCが介入し、この段階でピットインする可能性はなくなった。そして残り10分を前にSCはコースから外れ、フレディの駆る#5 F.C.C. TSR Honda FranceのCBRが今季2勝目となるチェッカーフラッグを誰よりも早く受けた。SCが3回介入する波乱に満ちた8時間のレース中、細かなすれ違いのようなものはあったものの、その都度ライダーと全スタッフが修正しながら走りきり、ノーミスでパーフェクトなレースを展開できた。
マシンの待機場所となるパークフェルメではフレディが両手を挙げて歓喜の雄叫びを挙げると、ジョシュ、そして今回は走るチャンスに恵まれなかったものの、レース中ライダーとチームをサポートし続けたアランもレーシングスーツ姿で取り囲み、優勝の実感を噛み締めた。
この結果、世界ランキングは2番手を10ポイントの差で突き放し、トップのままでホームグランドレース鈴鹿8耐を迎えることになる。文字通り、世界一の最終決戦、それが鈴鹿サーキットで繰り広げられることになる。負けるわけにはいかない。

『何と言っても勝ちたくて、優勝したくて、世界一になりたくて準備を進め、仕込んできた。これは誰もが同じだと思うけど、思っただけで実現できるわけじゃない。でも考えなかったり、やろうとしなきゃ、絶対に出来ない。その中で結果が出る、皆が喜んでくれる、君が代が流れる、まさに感無量の瞬間だ。ル・マンの優勝から新しいマシンの投入で3位、そして今回の優勝と、着実にポテンシャルは上回って来ているし、ようやくライバルに競り勝つことができたと感じている。この状態で我々のホームグラウンド、鈴鹿で世界一の決戦が出来る、文句無いね!』
【フレディ・フォレイ】コメント
『まず、セーフティカーのおかげで、最後のピットストップを避けることができた。クラッシュに巻き込まれたライダーが大丈夫だと願うよ。レースはすべてが完璧だった。ここではすでにチャンピオンシップを1ポイントでリードして満足していたが、今日は10ポイント差を広げることができたからね!マシンは走る度に進化していて、現状でもほぼ完璧。チームが本当に素晴らしい仕事をしてくれていることに感謝します。完璧な週末だったし、鈴鹿でももっとプッシュしていきたいね』
【ジョシュ・フック】コメント
「ボクたちにとって素晴らしい週末だったし、それに加えて優勝の結果だから言う事無いね。すべてのチームとチームメートに感謝している。チームもちろんチームメイトも信じられないほどの仕事をしたと思っています。我々は予選から速かったし、レース中もベストを出し切る事ができた。完璧な週末だったと言えると思う」
【アラン・テシェ】コメント
『ライダーとしてこの決断(レースで走らない)に直面することはかなり厳しいことでした。でも、人生とはこのようなものでもあると思う。自分とチーム全員と決断したことだから。レースではチームメイトとチームが素晴らしい仕事をしたので、この結果はとても幸せです。チャンピオンの獲得に向けて、鈴鹿8耐をとても楽しみにしている。状況が非常に難しいことは理解しているけれど、僕にとっても馴染みのあるコースなので、チャンピオンのために戦うことができることを願っています』