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<F.C.C.クルーインタビュー>
起死回生の3位入賞!スロバキア8時間

破竹の勢いで勝利をさらったボルドールから半年余り。世界王者として臨んだ4度目のル・マンを辛くも35位完走というかたちで終え、一夜にして“追われる側”から“追う側”へと転身した#1 F.C.C. TSR Honda France。 しかし、息つく暇もなく迎えたスロバキア8時間では、巻き返しの3位入賞を果たし、その強さを見るものに確信させた。
世界連覇へ襷をつないだバトルの裏側を、F.C.C.ピットクルーに聞いた。

勝負を決めるのは、速さだけじゃない

苦戦を強いられたル・マンから1ヶ月足らず、十分なセットアップができないなかで臨んだスロバキア8時間耐久レース。 アクシデントや天候の乱れにより、チームはいくつものイレギュラーにさらされることとなった。なかでも予測不能な展開に苦心したのが、給油担当のクルーたちだ。
重量のあるロケットを打ち込むタフな仕事が注目されがちな給油だが、その難しさは何もスタミナや技術だけに留まらない。ピットからマシンを送り出した後、入れたガソリンの量を計測し、走行距離当たりの消費量を予測。 次のピットインに備えレース展開を見守りながら、絶えずロケットにガソリンを充填しておく必要がある。
一見地味なこの作業だが、ガソリン残量がわからない耐久マシンのタンクはブラックボックスさながら。計算ミスをしたり、準備が間に合わなかったりして十分な給油ができなければ、大きなタイムロスにつながってしまう。
路面コンディションの変化によって、ライダーが急遽ピットインを行う場合なおのこと、その判断の正確さとスピードが試される。 スロバキアリンクの場合、マシンがコースを1周するのにかかる時間はおよそ2分10秒前後。合図を受けてから戻ってくるまでのそのわずかな時間に最高の状態をつくっておけるかどうかが、勝利の明暗を分けることもある。

判断力が試されるのは給油だけではない。
「雨が降ると、うちにとってはチャンスなんです」そう語るピットクルーたちの並々ならぬ自信の裏には、彼らの唯一無二の突破力がある。 今回も他チームが天候の変化に翻弄され、ペースに小さなズレを生じさせるなか、淡々と展開を読み、ベストなタイミングで適切なタイヤチェンジを遂行。リードをつくって見せた。
“勝負は準備で決まる”というのも、彼らベテランスタッフの常套句だ。 幾多のレースを戦うなかで磨き上げてきたこの突破力こそが、F.C.C. TSR Honda Franceの強さを支えていると言えるだろう。

ライダーの“本気”がピットを変える

あと少しで抜けそうな位置に着けているのに、何周回ってもポジションを上げられない…というシーンは耐久レースではザラにある。
EWCにフル参戦している上位チームともなれば、そのラップ差はわずか1、2秒。1時間走って得られるアドバンテージはせいぜい30秒程度だ。 コンマ何秒かを突き詰める世界。そこに一瞬のチャンスを生み出すことができるのが、ピットワークなのだ。

つなぐ3位入賞スロバキア8時間_section4

今回、F.C.C. TSR Honda Franceのピットワークトレーニングには、これまでとは違う光景があった。 今シーズンからチームに加わったマイクが、あれこれと意見を出していたのだ。
従来は給油後、タンクにはねたガソリンがライダーに付着しないよう、ふき取る作業を最後に行っていたが、「汚れてもいいから、少しでも早くコースに戻りたい。俺たちが1秒詰めるのに、どれだけリスクを負わなきゃいけないかわかるだろう?」 というマイクの言葉を受けて、これをやめた。事実、彼ら以上に1秒の壁の厚さを知る者はいない。凄まじいスピードでマシンを駆るレースにおいて、激しいプッシュは転倒やミスの確率をぐんと高める。 ひとたびその塩梅を誤れば、着実に積み重ねてきたポジションを一瞬にして失いかねない。 だからこそ、自分の走りだけではなく、チーム全体のパワーを総動員して勝ちにいきたいというマイクの熱意が感じられた今回の出来事は、クルーたちの胸を打ったのだ。

つなぐ3位入賞スロバキア8時間_section5

そうして、マイクに感化されるようにジョシュとフレディも輪に加わり、最終的にはチーム全員でピットワークの仕上げにあたった今回。 ライダーがスタンバイする場所と消化器担当の位置が被らないよう、当事者同士で打ち合わせをするなど、これまでにない一体感のなかで細部まで試行錯誤を凝らした。
F.C.C. TSR Honda Franceとして世界に挑み続けて2年目となる今シーズン。ともに戦う仲間たちがまとう雰囲気は、確実に良くなってきている。 戦果を一つひとつ積み重ねながら、チームは常に進化を続けていく。

世界連覇の襷は、追撃のドイツへ

つなぐ3位入賞スロバキア8時間_section6

世界連覇という目標を掲げ、背水の陣で臨んだスロバキア8時間。予選結果にもポイントが付されるようになった今シーズン。
勝ち上がっていくためには、ここからしっかり押さえていかなければならない。
#1はここでも不安定な天候を的確に掴み、7秒台のトップタイムで2番手を獲得。 臨んだ決勝当日は、マシントラブルにより序盤で大きく順位を落としたものの、そこから攻めの走りと熟達のピットワークで周回ごとにライバルをパスし、じわじわとポジションアップ。 終盤は2位に40秒差に迫るところまで喰らいついたものの、惜しくもタイムアップ。勝利の予感を十分に感じさせる3位入賞となった。

つなぐ3位入賞スロバキア8時間_section7

これによりF.C.C. TSR Honda Franceは25ポイントを獲得。 総合順位を6位から5位へと上げ、総合優勝へと襷をつないでみせたものの、依然“追う側”として予断を許さない戦いが続く。
チームの理想とする“ミスなく勝つ”という戦いは、まさに完全勝利の方程式と言えるだろう。 その再来を期待する一方で、今回のスロバキアリンクで遺憾なく発揮された、不測の事態に対する土壇場の強さ、起死回生のシナリオにこそ、F.C.C. TSR Honda Franceの強さの神髄が垣間見れるような気がする。
残る2018-2019シーズンはあと2戦。次戦オッシャースレーベンは、再びトップ争いの最前線に躍り出る最後のチャンスだ。ここからはただ“勝つ”しかない。熱狂の夏は、もうすぐそこまで来ている。

今回のピットスタッフ

サインボード・タイム計測 稲寄 速人サインボード・タイム計測 稲寄 速人

サインボード・タイム計測

稲寄 速人from F.C.C.

インタビュー

リアアクスル 松永 星 リアアクスル 松永 星

リアアクスル

松永 星from F.C.C.

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給油スタッフ 関口 登史 給油スタッフ 関口 登史

給油スタッフ

関口 登史from F.C.C.

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2018-2019 FIM世界耐久選手権スロバキアリング