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<F.C.C.クルーインタビュー>
熱い想いで魅せたル・マン24時間優勝<後編>

4月21日(土)、22日(日)に開催された2017-2018世界耐久選手権(EWC)第2戦ル・マン24時間耐久レースにおいて、悲願の海外戦初優勝を遂げたF.C.C. TSR Honda France。
今回はレース当日のエピソードやチームの裏話といったル・マンにまつわるアレコレを、F.C.C.ピットクルーへのインタビューをもとに、前後編でお届けする。

24時間耐久だからこそ味わえるロマンがある

前編で耐久レースにおけるピットワークの重要性についてお伝えしたが、ル・マンには他にも様々な見どころがある。
例えばレース中盤の夜間走行。長い夜を抜け空が白みはじめると、コースを走るマシンのスピードが揃って加速する。暗闇から解放され視界が開けることで、走行にも余裕が生まれるのだと言われている。
こういった自然的な要素がレースの展開を左右するのも、24時間を戦うル・マンならではだ。

また特色という点で言えば、世界耐久選手権には走行中転倒した場合、ライダーがピットまで自力でマシンを持ち帰らなければならないルールがある。
大破し走行不能になったマシンをライダーが押して戻ってくると、ピットに集まったすべてのライバルたちが割れんばかりの拍手でその健闘を讃える。

鈴鹿8耐で鍛え上げてきた技術とプライド

「変な話、どのチームも24時間頑張ってきたわけじゃないですか。だからライバルなんですけど、最後は仲間みたいになっちゃうんですよね」
世界中のチームが濃密な時間を共にするル・マンだからこそ、レースが終わりに近づけば近づくほど、会場にはチームの垣根を超えた一体感が生まれるのだそうだ。
一瞬の気のゆるみが命取りになるシビアさの一方で、チャンスをものにすることができれば挽回の可能性もある。チェッカーフラッグがはためくその瞬間まで勝負がわからないのも、耐久レースのロマンと言えるだろう。

彼らが厳しいレースに挑み続ける理由

前述の通り1時間に1度の給油だけでなく急なトラブルへの対応など、レース中のピットクルーは24時間休む暇がない。そんなハードな現場にもかかわらず、F.C.C.のスタッフには何年も連続でピットクルーを務めている者が多い。彼らをここへと突き動かすものはいったい何なのだろうか。

彼らが厳しいレースに挑み続ける理由

「レースの最中はもうやりたくないと思います。毎回。でも何故か最終的には『次も頑張るぞ!』ってなってるんですよ」自身も趣味でサーキットを走るという上野さんは、レースが終わった後の達成感が自身の原動力だという。

彼らが厳しいレースに挑み続ける理由

今回ル・マンに参戦した3人の中で最も長くチームに携わっている松永さんは、レースという場がつくりだす非日常の感動こそがやりがいだと教えてくれた。「7万人を超える来場者に沸く会場内で、バイクを転がしているスタッフはと言えばほんの一握りです。その中に自分がいると思うと、たまらないですよね」

彼らが厳しいレースに挑み続ける理由

そんな情景に憧れて、ピットスタッフを志望したのがF.C.C.メンバー最年少の関口さんだ。
「マシンと人が一丸となって走り切って、みんなで抱き合って喜びを分かち合う。あの瞬間を、自分はずっと夢見ていたんです」
今回優勝してひとつ夢が叶った喜びを、心の底から噛みしめているような笑顔が浮かんでいた。熱い想いを胸にF.C.C.の名を背負って世界の舞台で戦う彼らの姿は、とても輝いて見えた。

ル・マン優勝で見えてきた世界制覇への道筋

ル・マン優勝で見えてきた世界制覇への道筋

振り返ればF.C.C. TSR がル・マンに挑み始めて今年で3シーズン目。これまで鈴鹿8耐で確かな実績を積み重ねてきたとはいえ、世界で戦うことは決して容易ではなかった。
「ピットクルーとしてチームをずっと近くで見ていて、やっぱり苦しい時期もありました。
でも今回それが報われて、本当に良かったです」

“レースは勝たないと意味がない”というのが彼らのモットーだ。ポディウムの一番上、そこだけを目指してひたすらに走り抜けてきた。
1位以外は完走と同じと自らを律し、比喩ではなくチームで心を一つにして取り組んできた。だからこそ、今回大会史上初の日本国籍チーム優勝、そして海外戦初優勝はまさに悲願と言える。
「本当に泣けましたね。大泣きしました。表彰式で日本の国旗が上がって『君が代』が流れた時はみんなで大合唱しました(笑)」

ル・マン優勝で見えてきた世界制覇への道筋

優勝から一夜明け、慌ただしく帰国の途に着くと、地元新聞やTVニュースがその快挙を報じた。
予想を上回る周囲の反響に、勝利の喜びを改めて噛みしめると同時に、世界耐久選手権における年間優勝という目標への道が大きく拓けた。
そう、ここはまだ通過点に過ぎないのだ。
第1戦ボルドール24時間、第2戦ル・マン24時間を終え、現在F.C.C. TSR Honda Franceはポイントランキング1位を走っている。
しかし2位との差はわずか4ポイント。決して油断ならない拮抗した状況だ。

これから待ち受ける第3戦スロバキアリング8時間、第4戦オッシャースレーベン8時間、そして最終戦鈴鹿8時間―
世界耐久選手権の歴史にF.C.C. TSR Honda Franceの名を刻むまで、彼らの戦いは終わらない。

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ピットスタッフ 松永 星 ピットスタッフ 松永 星

ピットスタッフ

松永 星from F.C.C.

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給油スタッフ 上野 翔平 給油スタッフ 上野 翔平

給油スタッフ

上野 翔平from F.C.C.

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給油スタッフ 関口 登史

給油スタッフ

関口 登史from F.C.C.

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F.C.C.ピットクルール・マン2017-2018 FIM世界耐久選手権