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2017-2018世界耐久選手権シリーズ〈前編〉
戦いの軌跡

今日から
世界一を求めて
戦い始めました

2017年7月31日。鈴鹿8耐を3位でフィニッシュした直後に更新された、
F.C.C. TSR Honda(当時)の総監督である藤井氏のブログには、そう綴られていた。
約1年間に及ぶ熾烈な戦いの“終わり”ではなく、
これから挑む新しいシーズンの“はじまり”を告げるその短い一言からは、
一瞬たりとも過去を振り返っているヒマはないと言わんばかりの、確固たる意志が立ち上っていた。
記事のタイトルは「始まった!」
勝利を、No.1を、貪欲に追い求め続けるチームに、停滞はないのだ。

その日から、絶えず闘志を燃やし、駆け抜けてきた2017-2018年世界耐久選手権シリーズも、
7月末に控える鈴鹿8耐でいよいよクライマックスを迎える。
今回はそんな大一番を前に、F.C.C. TSR Honda Franceの一年間の戦いの軌跡を、
ダイジェストで振り返る。

開幕戦は6位でフィニッシュ!
新体制の手ごたえ掴む一戦に

日程・スタート時間
決勝レース
スタート9月16日(土)15:00
フィニッシュ9月17日(日)15:00
会場
Circuit Paul Ricard (5.791 km)
ポール・リカールサーキット(フランス)
走行結果
フィニッシュ順位 / 6位
周回数 / 670周
トップ差 / 13周
獲得ポイント / 37pt
ポイントランキング/ 4位(37pt)

2017年・秋。鈴鹿8耐終了から2ヶ月弱、休む間もなく幕を開けた2017-2018世界耐久選手権シリーズ。
第1戦となるボルドール24時間レースは、Honda Franceをパートナーに迎えた新体制で臨む、初めての一戦となった。
日本国籍チームであるF.C.C. TSRが、ヨーロッパ中心の世界耐久選手権で勝ち抜いていくためには、現地のサポートが必要不可欠だ。今回この新体制を確立できたことで、ボルドール、ル・マンの舞台であるレース大国・フランスにおける地の利を、一層強固なものにできたことは、チームにとって大きな後押しとなった。

開幕戦は6位でフィニッシュ!新体制の手ごたえ掴む一戦に

スタート時刻は15時。晴れやかなボルドールの空に、戦いのスタートを告げる号砲が響き渡る。
#5 F.C.C. TSR Honda Franceは3番手ポジションからのスタートだ。
チームは好調な走りで流れに乗り、序盤からトップ争いに食い込んでいく。その後もトップチームは積極的な走りでレースをリードし、後続チームを周回遅れに引き離していった。

開幕戦は6位でフィニッシュ!新体制の手ごたえ掴む一戦に

とはいえ、ボルドールは24時間という長丁場。
ライバルたちは粘り強い走りで形勢逆転のチャンスを狙っている。一切の油断は禁物だ。
その後、レースを引っ張っていたトップチームがマシントラブルなどで徐々に脱落し、順位が揺れ動くなか、#5 F.C.C. TSR Honda Franceは1、2ポジションをキープしたまま、着実に周回を重ねていく。
8時間が経過した頃には、ライバルチームと一騎打ちの様相となり、両者はピットインごとにトップポジションを入れ替える激しい接戦を繰り広げた。 この攻防は、レース開始から20時間を過ぎた時点まで続いた。

開幕戦は6位でフィニッシュ!新体制の手ごたえ掴む一戦に
開幕戦は6位でフィニッシュ!新体制の手ごたえ掴む一戦に

トップを走行していた#5 F.C.C. TSR Honda Franceだったが、22回目のピットインを終えた直後に転倒。
マシンは少なからずダメージを負ったものの、ライダーに大きなけがはなく、メカニックの尽力により、チームは10分程度でコースに復帰した。
この時、フィニッシュまで残すところ4時間あまり。各チームが最後の追い上げをかける激しいポジション争いの中で、一度は8位まで順位を落としたチームだったが、決死の挽回で最終的に6位チェッカーを受けた。

これにより、チームはランキングポイント19ptに、8時間、16時間のチェックを2位で通過したことによるボーナスポイント*18ptを加えた、合計37ptを獲得。結果として、5位でフィニッシュした昨シーズンよりも大きなポイントゲットとなった。 新体制で挑んだ初陣は転倒こそあったものの、世界一を掴み獲る確かな手ごたえを感じる一戦となった。
*EWCポイントシステムについてはこちら

日本チーム初!悲願のル・マン優勝
総合力で伝統の24時間を制す

日程・スタート時間
決勝レース
スタート4月21日(土)15:00
フィニッシュ4月22日(日)15:00
会場
Bugatti Circuit (4.185 km)
ブガッティ・サーキット(フランス)
走行結果
フィニッシュ順位 / 1位
周回数 / 843周
獲得ポイント / 58pt
ポイントランキング/ 1位(95pt)

初戦のボルドールから7ヶ月を経て、第2戦、ル・マン24時間の幕が開いた。
ル・マン24時間耐久レースは、鈴鹿と同じく40年以上の歴史を持つ伝統的な大会だ。
世界選手権シリーズの中でも、最も注目度の高いレースと言っていいだろう。
そんなル・マンで優勝すること―それは、チームが長年掲げてきたひとつの目標でもあった。

日本チーム初!悲願のル・マン優勝、総合力で伝統の24時間を制す

初日の予選でライダーの走りが好調であることを確認したチームは、予選順位にはこだわらず、決勝レースに照準を絞る方針をとった。
そして迎えた決勝当日。

6番手スタートとなった#5 F.C.C. TSR Honda Franceは好スタートを切り、序盤から3、4位ポジションをキープ。トップを争うライバルチームたちを、やや後方から追い上げる展開にとなった。
その後、上位勢がトラブルや転倒で次々と姿を消していく中、後続に数周のリードを保ってトップを走るライバルチームと、他を引き離して2番手をキープしていた#5 F.C.C. TSR Honda Franceの抜き差しならない状態が続く。

日本チーム初!悲願のル・マン優勝、総合力で伝統の24時間を制す

状況が大きく動いたのは、またもレース終盤。残り6時間のシーンだった。
それまでトップを独走していたチームがまさかの転倒。

ここまで冷静に粘りの走りを見せていた#5 F.C.C. TSR Honda Franceが、トップに浮上した瞬間だった。何が起こるかわからないレース終盤の恐ろしさを、世界に挑むチームは身をもって知っている。だからこそ、最後のピットインを終えた後も、ピット内にぴんと張り詰めた緊張感が緩むことはなかった。その後、クルーが固唾を飲んで見守る中、#5のマシンは後続との距離を意識ながら危なげなく周回を重ね、悲願のル・マン初優勝を実現した。

ライダーの走行順の変更、スクリーンの破損など、いくらかの問題はあったものの、それらすべてを見事に切り抜け、チームはチャンスをモノにしてみせた。
ライダー、ピットクルー、メカニックの一人ひとりが己の役割をまっとうし、文字通り総合力で掴み獲った勝利と言えるだろう。

日本チーム初!悲願のル・マン優勝、総合力で伝統の24時間を制す

遠いフランス、ル・マンの地で鳴り響く『君が代』を聞いた瞬間、タフなクルーたちの目にも思わず涙が溢れた。喝采に沸くサーキットでウイニングランをするライダーの手には、ブルーの旗に力強く刻まれた「必勝」の二文字がはためいていた。 8時間、16時間のチェック*を2位で通過し、1位フィニッシュを果たしたF.C.C. TSR Honda Franceは、このレースで58ptを獲得。
遂に年間ランキングトップに躍り出た。
*EWCポイントシステムについてはこちら

フランスでの過酷な24時間レースを終え、戦いはドイツ、スロバキア、そして日本での8時間耐久レースへと続いていく。ここからは、1か月に1度のスピード感でレースが行われるハードなスケジュールとなる。
ル・マン優勝でポイントランキング首位を勝ち獲り、追われる立場となったチームにとっては、ここからが真の正念場だ。
“鈴鹿で勝って世界一”という目標に向けて、チームの勢いはますます加速していく。
後編では、5月に行われたスロバキア8時間耐久レース、そして6月に行われたオッシャースレーベン8時間耐久レースのハイライトをお送りする。

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